祖父が植えた木 - 戦争から戻ったじいちゃんが植えた白雲木 -
上野公園に久々に行った。 桜の蕾がすでに開き始めていて驚いた。
公園の所々に食欲をそそう匂いを撒き散らす屋台や ちょっと怪しい骨董品市が並んでいた。
池の周りを一周する間に ビール・チュウハイ・焼き鳥・焼きそばを買い込んで公園の片隅でちょっとだけ早いミニ花見会をした。
まだ肌寒かったけれど、 空の下で風を感じながらほろ酔い気分になるのは最高だった。
岩手に住んでいるじいちゃんが去年の夏に僕に言った。
「上野公園に白雲木っていう木があるから行ったら見てくれ」って。
祖父は戦争から戻ったあと造園業を始め日本の各地を周った。
上野公園の一部も手がけたらしい。その時の木が白雲木。
今日は公園を一周する間、桜の咲き具合を確かめる傍ら、 ひそかに祖父の木も探したのだが 結局見つけることは出来なかった。
次に上野に行くときはちゃんと下調べして、 何十年も前に祖父が額に汗して植えた木を確かめようと思った。 白い雲のような木。きっと綺麗なんだろうな。